お肌にはバリア機能と呼ばれる外部刺激を遮断するシールドが備わっています。
そのシールドこそ、お肌の『潤い』です。
では、その潤いを守るのは? というと
- 皮脂膜
- 細胞間脂質
- NMF
です。
この3つのシールドがお互いを守り合うようにして、お肌の潤いは守られているのです。
この3つのシールドのうち、1番最初に刺激に立ち向かう、比較的簡単に無くなったり復活したりする、失われやすいシールドが『皮脂膜』です。
皮脂膜の役割
皮脂膜はお肌の潤いを守ります。
では、どう守るのかというと
です。
弱酸性で雑菌を寄せ付けない
弱酸性は私たちに害を及ぼす心配のある雑菌を寄せ付けません。
逆にお肌に住むブドウ球菌やアクネ菌といった常在菌はこの弱酸性の環境を好み、洗浄などで弱酸を外れても再び弱酸性へと戻す成分を分泌してくれます。
ですから、あんまり殺菌能力が高い成分は、敬遠されるわけですね。
油性のフタで角質層の潤いを閉じ込める。
お水と油は混ざりません。
これは、お水が極性というプラスマイナスの電気的な力を持つ特別な能力をもった小さな分子であるのに対し、油は総じて極性を持たない大きな分子で出来ている傾向がある! からです。
物質は似ているものはくっ付く、似ていないものはくっつかないということです。
ですから、お水の入ったコップに油をたらせばお水の表面に油は浮き広がります。
この状態のお水では特別なことが起こります。
本来放っておいても気化によってだんだん量の減っていくはずのお水ですが、気化しずらい油のフタが邪魔でお水が気化できず、その量が変わらない! といった現象です。
これに似た現象がお肌でも起こっているのです。
皮脂膜(油)が角質層のセラミド(油)が抱える水をフタをすることで、更なる保湿効果を引き立てるのです。
皮脂膜のかくされた役割
細かいことを正確に言えば、上の2つは現在判明している皮脂膜のあきらかな役割ということになります。
皮脂膜や角質層といったお肌のバリア機能はいまだ謎が多いからです。
つまり、皮脂や皮脂膜の役割は2つだけとは限らない訳です。汗や常在菌との相乗効果を考えればなおさらです。
そんな、皮脂や皮脂膜ですから、根拠も無く嫌い、徹底的に洗浄してしまってはどんな恩恵を失っているのか分かりません。もちろん、皮脂や皮脂膜の徹底した洗浄が健康を害すとか恐ろしいトラブルを引き起こすまでの心配があるとは思えません。
最近の過剰洗浄や徹底した殺菌の考え方は変える必要がある! という話です。
皮脂膜ができるまで
皮脂膜の材料は皮脂、汗、常在菌です。
毛穴の皮脂腺から分泌された皮脂が常在菌によって徐々に分解され、汗とまじることで出来るのです。
もうちょっと詳しく見ていきましょう。
皮脂は正確には、
- オレイン酸、リノール酸などの油脂
- スクワレンと呼ばれる炭化水素
- ワックスエステルと呼ばれるロウ
で構成されています。
そして、油脂は分解されると遊離脂肪酸と呼ばれる弱酸性分が生み出され、スクワレンからはコレステロールも生まれます。
つまり、皮脂膜は、上記3種のオイルがある程度分解され、様々な種類の遊離脂肪酸とコレステロールがある程度発生し、残った3種のオイルと汗が混じり合って出来ている! という訳です。
皮脂の酸化が引き起こすトラブル
皮脂膜は、皮脂中の油脂が分解され、遊離脂肪酸がある程度発生し混じることで初めて弱酸性という特性をもってシールドとしての性能が完成する! といえます。
ですが、酸化というのは本来、劣化を意味し、行き過ぎた酸化は、ご存知『痒み』や『悪臭』といったことを引き起こし、悪化すれば常在菌が増えすぎ、ニキビ、炎症といったさまざまな皮膚トラブルの引き金となるのです。
常在菌や皮脂は、敵でも味方でもあるという訳ですね?
皮脂膜と上手に付き合うには、皮脂膜を知ること!
いかがでしょうか?皮脂膜の役割や出来るまでの経緯を知ると、洗浄に対する考え方が変わりませんか?
私自身、低洗浄にこだわるようになったのは、皮脂膜の勉強をしてからです。
ただし、知っただけで終わりではありません。低洗浄は実際に導入することが難しいことも事実だからです。
そのため、低洗浄を実現するための様々なアイテムが存在します。
低洗浄洗顔フォームや低洗浄クレンジング、失った皮脂膜を補うオイルなどです。
こうしたアイテムを組み合わせることで、様々な方法で皮脂を守るもしくは補うといったことが可能です。
そうしたアイテムと知識からくる意識を掛け合わせて、皮脂膜との上手な付き合い方を身につけましょう。