以前、よく使っていた貼ってはがすタイプの毛穴パック。はがした後に角栓がごっそりついてくる感じが心地よくて週末はコレをやるのが楽しみだった時もあります。
ただ、何度も繰り返していると、硬い角栓が減ってきて、角栓が途中でちぎれたり、スポっと抜ける感じがしなくなり、なかなか「毛穴がスッキリ!」というところまでキレイにするのは難しかったかも。
はがした後は肌が毛羽立ったり、白くカサカサしたりする感じがするので、やっぱりお肌への負担は大きかったのかなと思います。
角栓を取り除くスキンケア
黒ずんだ角栓を一掃する、角栓除去シート。
黒ずみ対策として、一番分かりやすいスキンケアですよね。
でも、その分一番考えの浅い、結果の見えないスキンケアとも言えるのです。
実際に、詰まった角栓を取り除くのですから、一見理にかなっているように思います。実際、取り除くことで黒ずみが無くなる可能性は否定できません。
ですが、根本の原因、『皮脂の過剰分泌』や『角質のかさばりなどによる毛穴の出口の収縮』を解決するスキンケアではないからです。
むしろ、そうした原因を招くスキンケアとさえいえます。
こうしたスキンケアが、普通に広まったのは、角栓や皮脂についての誤解が原因だと思われます。誤解の原因は、一時期、毛穴の中までスッキリ!といった、マイクロスコープで毛穴をのぞくシャンプーのアピールが流行ったことだと思われます。毛穴の角栓や皮脂って異常に嫌われてますよね?
冷静に考えてもらえば、当然の事ですが、毛穴には角栓が必ず存在していて、その奥には皮脂がつまっています。そして、この状態こそ、毛穴のあるべき姿であり、健康な毛穴といえるのです。
ですから、毛穴の角栓や皮脂をきれいさっぱり洗浄する意味は全くないと言い切れます。
問題視するべきなのは、『詰まって排出されない角栓の原因』と『毛穴からお肌に出て、古くなった皮脂』です。
ですから、角栓を取り除くスキンケアは少なくとも『不要』であるのは間違いありません。
さらに、明らかなエビデンスこそ見当たらなかったものの、角栓を取り続けることで招くお肌のトラブルは未知数といえます。
角栓は、毛穴を守っているとも言えるからです。
また、皮脂は取り続けることで、その分泌量は加速度的に増えていく、というデータがあります。これは、毛穴の洗浄での話ではなく、洗顔や洗髪でのデータなので、毛穴レベルでの洗浄がもたらす変化は計り知れません。
いずれにせよ、毛穴の洗浄については、さわらぬ神にたたりなしといえ、良いことは見当たらず、トラブルを秘めたスキンケアと言えます。
角栓を取り除くスキンケアたち
角栓についての豆知識を箇条書きにして行きます。
- すべての角栓が悪さをする訳ではない、あくまでも詰まって毛穴から出ない角栓がトラブルを引き起こす
- むしろ角栓は皮脂分泌のバランスを取っている、もしくは、フタとなって毛穴を守ってくれているとさえも言える
- ピーリングなどの薬剤による詰まった角栓の溶解除去は、薬剤単体では除去にいたるほどの効果がある訳ではない。あったとしても、元気な皮膚にも影響がある。
- 詰まった角栓を取り除くには、最終的に物理的な方法に頼るしかなく、多かれ少なかれ刺激が伴う
コレをふまえた上で、角栓を取り除くスキンケアを見ていきましょう。
1、角栓がごっそりとれるシート式フェイスパック
コレでもか!と言うくらい角栓が取れるシート式フェイスパック。
実はとっても単純な仕組みでできています。
水分でふくらんだシートが、お肌に貼付けた後で再び乾燥して収縮し、その際に毛穴から飛び出た角栓をつかんで離さず、そこを物理的に引っこ抜くというものです。
つまり、角栓に限らずつかんだものは何でも引き抜こうとしてしまいます。
下手にいじくり回して角栓を取るよりは、お肌へのダメージは少なくてすむといえ無くはありませんが、お肌へのダメージは確実にあります。敏感肌の方には、新たな黒ずみを産むといった心配があります。
他にも、毛穴が大きくなる!などなど、とても評判が悪いフェイスパックによる角栓取りですが、ほとんどの悪しきウワサは、根拠が乏しいといえると思います。
ただし、このスキンケアのダメージよりも心配な1番の問題は、
- 角栓は1つも無い方が良い!
と決めつけているスキンケアであることです。
たしかに、毛穴の黒ずみといったお肌のトラブルの原因は、角栓であり、角栓は無い方が良い!を完全否定は出来ません。
ですが、毛穴の黒ずみにおいて、原因はあくまで
- 『詰まって排出されなくなった角栓』
によるものであり、通常の流れで出来る角栓のほとんどは、毛穴の黒ずみにはならない。むしろ、角栓が出来るのは自然の流れであるのですから、何らかの役割を担っているとすら言えるのです。
それらの役割を完全無視して、問題のない角栓もろとも引っこ抜いてしまえば良い!と言うのは、やはり考えが甘い、軽卒なスキンケアではないかな?と、個人的には思います。
やってはいけない根拠が明確でない以上、過度な警告は避けますが、角栓にも一定の役割があると考えれば、さわらぬ神にたたりなし。根こそぎ取る、ましてや、取り続けるのは避けた方が無難と言えます。
2、ピンセットなどによる角栓除去
これらのスキンケアは、フェイスパックと違い、根こそぎ何でもかんでもと言う訳ではないため、狙った角栓だけを除去出来る!と言ったメリットがありますが、2つのデメリットが存在します。
- 取り除くべき角栓かどうか?の判断が難しい。
- そして、お肌を傷つけてしまう可能性が高いことです。
本来角栓は、自然に抜けるものです。
本末転倒になる心配が高いので、安易に自分でやるのはオススメで来ません。
3、吸引機による角栓除去
超音波などの振動を利用して、ピーリング剤などを併用する事で角栓を取り除いていくスキンケアです。というより、この方法だと、詰まった角栓というより、皮脂をすべて取り除こうとするスキンケアと言えます。
皮脂=悪ではない事は、皮脂を材料として出来上がる皮脂膜が証明しています。
皮脂と美容の関係で大切なのはバランスです。
吸引機による角栓除去は、あっという間に見栄えが良くなる効果的なスキンケアと言えますが、『バランス』を崩す危険をフンダンにはらんだスキンケアとも言えます。
少なくとも、良かれと思って徹底して行うことだけは避けた方が無難です。
4、その他のスキンケア
他にも、消しゴム、泥といった角栓除去が市販品やネット上で見受けられます。どれも、油と混じり合ってくっつく成分を使って角栓を捕まえて引き抜こうと言うものです。
泥や粘土といった自然界のものというと、聞こえは良いですが、自然界のものだと低刺激だという方程式は成り立ちません。
ある意味、角栓だけをつかんで取り除く、角栓パックの方がよっぽどやっていることが明確で低刺激と言えることもできるくらいです。
こちらは、角栓を押し出したりこそげとるスティックタイプのグッズ。
買ってはみたものの、実際にはあまり使わなかったですね。結局、自分の爪でコリコリするほうが、小回りが利くというか、適度に「しなる」というか、強弱がつけやすくて取れやすかったかな・・・という感じで、角栓が気になると、よく爪でこすってしまっていました。
でもこれをやると、こすった跡が赤くなってしまい、お肌への刺激が心配な感じになりますよね。やっぱりこすったり、ぎゅうぎゅう強い力をかけることになってしまう方法は、いいケアとは言えないと思います。
角栓をとるスキンケアがダメな理由
いつのまにか、悪者にされた、角栓と皮脂。
とっちゃいけない理由は大きく3つです。
- 角栓はあっちゃいけないものではない
- 角栓をとるのは刺激が伴う
- 角栓をとる意味がない。むしろ無くなることが心配とも言えるくらいだから
です。
確かに、毛穴が目立つ要因のひとつが角栓と言えなくもないですが、その解決方法はあくまで健康なお肌の潤いであり、断じて角栓除去をはじめとする毛穴の洗浄ではあり得ません。
洗浄などの一撃の効果を挑むより、地道に、低刺激な洗浄、セラミドをはじめとする潤い補給を続けて、確実な解決を狙いましょう。