毛穴の黒ずみなどのお肌のトラブル、何故、人によって頻度に差が生まれるのでしょうか?
生活習慣や年齢、過剰な洗浄や生まれつきの体質、抜本的な理由は様々ありますが、これらの抜本的な理由が引き起こす最終的な結果は、おもに
- 『お肌のバリア機能の低下』
です。
良く言われるお肌の「バリア機能」とは何なのか?
実は、お肌の表面、たった0,03mmの角質層を主役とするとっても薄いシールドの事だったのです。
お肌のバリア機能とは
お肌の構造やシールドは、未だマクロな研究が進められていて、セラミドはじめとした未知の性能がたくさん潜んでいます。現在分かっている大まかなシールドとしては、
- 皮脂膜
- 角質層(NMF、細胞間脂質)
といえ、それぞれが違った形で体内部へのあらゆる刺激の侵入を防いでいます。
また、皮脂膜、NMF、細胞間脂質と違った形のシールドを持つ事で、お互いを守り合っている!と言う事もでき、1部のバリア機能が低下する事で、シミや炎症・毛穴の黒ずみといった一時的なトラブルを引き起こす!言うならば、これらのトラブルは、お肌の弱りを表す、もしくは補う、回復するための、まさに一時的な現象と捉える事もできます。
ですから、それぞれのバリア機能を大切にしてあげれば、一時的トラブルを避ける、つまり、
- 美しく健康的なお肌を保てる
と言える訳ですね?
ただし、それぞれ、違った形でお肌を守っている訳ですから、その特徴を知らなくては、どうすれば大切にしていけるのか?分かりませんよね?
それぞれの特徴を見ていきましょう。
皮脂膜の特徴と守り方
皮脂膜はお肌の最初のシールドと言えます。
その名の通り毛穴から分泌される『皮脂』が酸化し、油膜として毛やお肌を被膜する事で、人体の外環境を弱酸性の環境に保ち、弱酸を嫌う細菌を寄せ付けません。更には、皮脂膜は角質層の水分と油分交互で織りなす層をしっかり閉じ込める、最後の「フタ」としての役割を担います。
そんな皮脂膜ですが、他のバリア機能との決定的な違いが、落ちやすさと、復活の早さ、そして、酸化の早さです。
ご存知の通り、皮脂は時間とともに、酸化していき、『臭う』『皮膚の痒みを引き起こす』といった特徴があり、放置すれば、常在菌の過剰繁殖などの原因を引き起こし、炎症や毛穴の詰まり、黒ずみ、ニキビといったトラブルの元となりえます。
ですから、ある程度の頻度で洗い流してあげなくてはなりません。
通常、お湯だけでもあっさり落ちる皮脂、皮脂膜です。洗ってしまえば、皮脂膜シールドも簡単に失われます。
ですから、お風呂の後は皮脂膜のないもっとも弱った状態と言われる訳です。
ですが、皮脂膜の良いところは、復活の早さです。
皮脂さえ、改めて分泌されれば、あっさり分解され、人や環境にもよりますが、2、3時間もあれば復活するようです。お風呂後の突っ張った感じもあっさり治るのもこのためです。
しかも、皮脂は、洗えば洗うほど次の皮脂の分泌量が増え、皮脂膜の復活は早くなってくるといった傾向にあるそうです。現代人は洗浄頻度も洗浄意識も高いために、皮脂の分泌量も上がっている傾向にあるのではないか?といわれています。
こう見ると、皮脂膜は洗ってくれといわんばかりのシールドと言えますね。
ですが、理想は、
- お風呂の後も皮脂膜を残してある程度シールドを取っておきたい。
- 皮脂の過剰分泌は避けたい。
です。
ですから、皮脂膜を大切にするには
といったところが、重要と言えます。
角質層の細胞間脂質とNMF
角質層を成り立たせているのは、タンパク質による油と水の折り合いです。
場所によって、さまざまな形で水と油を織りなして構成する訳ですが、そのうち特に注目なのが、角質層内において最初のシールド細胞間脂質によるラメラ構造です。
細胞間脂質とは、角質層の細胞の間を埋める脂質の事で、主成分が有名な(ヒト型)セラミドです。
セラミドは、水とも油とも特徴があんまり似ていないために、どちらかと混じり合ったりせずに、お水とセラミドで交互の層を織りなします。コレに細胞間を水と油で交互に織りなすために、ほとんどの刺激の侵入を許さないバリア機能の要となる訳です。
更に、セラミドは、角質層の細胞である角質細胞同士の接着剤とも言われています。
角質細胞の膜の内側の領域は周辺帯と呼ばれていて、周辺帯は強固なタンパク質で構成されています。
このタンパク質を周辺帯タンパク質と特別に呼びますが、このタンパク質とセラミドは共有結合と呼ばれる化学結合によりしっかりと結びつけます。コレにより、角質細胞はバラバラにならず、隙間なく堅固な状態を維持できるという訳です。
こうして、水分と油によって複雑に且つ強固に構成される角質層です。
では、角質細胞内はどう構成しているかと、やはりお水とタンパク質が共存して構成されています。
その構成を成り立たせる成分をNMFと言います。
NMFとは、Natural Moisturizing Factorの略、つまりは、N:生まれ持った、M:保湿の、F:要因、そのすべてをさすものであり、角質細胞の保水を担うものすべての総称です。
というのも、細胞はお肌の奥底、基底層でうまれ、細胞膜がいろんな酵素や成分を出し入れする事で、細胞の内外で様々な変化を起こしながら、細胞はかたく小さく織り畳まっていき、細胞間脂質はにぎわっていきます。そして、新たに生まれる細胞に押し上げられるようにして角質層へと上っていきます。
この変化の状態により、角質層、顆粒層、有棘層、基底層と分けられる訳ですが、それぞれの厚み、成分の構成バランスに個人差があるために、炎症やアトピーなどの『トラブル』の生み出しやすさ、モチモチのもち肌、カサカサの乾燥肌などなど、お肌の個人差を生み出すわけです。
ですから、お肌の個人差は、NMFが関連しているのは間違いないと言えます。
ですが、その大きな要因が、生活なのか、遺伝なのか、なんなのか???
これが、いまだはっきりと解決していないのです。
なので、さまざまな憶測やエビデンスに基づいて、NMFに関連するスキンケアアイテムは多岐にわたり、効果はまちましです。
そのなかでも特に、NMFを外側からなんとかしよう!というスキンケアには注意が必要です。
NMFは内側からなんとかする物ではなく、内側からなんとかするものだからと考えられるからです。
というのも外側から肌に塗るなどして直接関与できる範囲は、通常、角質層までです。
なので、薬である医薬品ならまだ分からなくもないですが、化粧品で効果が得られるというのはありえないし、出来ても怖いです。
そんな特徴を持つ、角質層の細胞間脂質と角質細胞のNMFです。
これらのバリア機能を守るのに大切なのは
- 洗浄時と洗浄後の皮脂膜を守る事(低洗浄力・低刺激の洗浄とオイルによる補給)
- (ヒト型)セラミドを生み出し、守り、補給すること・生み出す 参考記事:飲むセラミド(スフィンゴ糖脂質を摂取する)
・守り お化粧のクレンジングオイルを低脱脂力のものを選ぶ
・補給する ヒト型セラミド化粧水により外側から角質層のセラミドを補給する
といった事が重要です。
お肌のバリア機能の保護は『うるおい』を守る事に注目しよう!
お肌のバリア機能を高く維持できれば、普通毛穴の黒ずみとは無縁の『もち肌』を維持する事ができるはずです。
そのために必要なスキンケアは、どれもお肌の水分とそれを維持するタンパク質の充実です。
ですから、『うるおい』に注目する=タンパク質を守ることです。
お肌のバリア機能を改めて簡単に見ると
- 『皮脂膜』が角質層の『細胞間脂質』を守る。
- 『細胞間脂質』が『角質細胞』を繋ぎ合わせ、角質層を成り立てている。
といえるため、
そして、皮脂膜が足りなくなったお肌は、低刺激・低洗浄力のクレンジング洗顔を意識するそれでも失った『セラミド』は化粧水で補うそして最後に、健全な細胞を生むための生活リズムを整える事
が重要です。